「水戸岡鋭治デザインワンダーランド」と新しい大分駅

「水戸岡鋭治デザインワンダーランド」と新しい大分駅

ごきげんよう よしだです。

皆様は 水戸岡鋭治氏をご存じでしょうか。
JR九州の車両や駅舎をはじめ、数多くの秀逸なデザインで知られるインダストリアルデザイナーです。

数年前から高架化・全面建て替えなどを行ってきた大分駅(これも水戸岡氏のデザインによる新駅舎)ですが、その一連の工事が今年完了したそうです。

それにともない、現在大分市美術館で水戸岡氏の展覧会が開催中とのことで、この展覧会と新しい大分駅を観に行ってみることにしました。

水戸岡鋭治氏について

まずはどういった人なのかを紹介したいと思います。

水戸岡 鋭治
(みとおか えいじ、1947年7月5日 – )は、日本のインダストリアルデザイナー(工業デザイナー)・イラストレーター。
岡山市吉備津(現・北区)出身。ドーンデザイン研究所代表取締役。
九州旅客鉄道(JR九州)デザイン顧問・両備グループデザイン顧問・おかやま夢づくり顧問。公益財団法人石橋財団理事。
参照:wikipedia「水戸岡 鋭治」

これまでに行ったデザインの仕事は主なものだけでも
九州新幹線800系電車「つばめ」、観光寝台列車「ななつ星in九州」、JR博多駅、JRはかたCITY、JR熊本駅、JR鹿児島中央駅 など。

九州に住む人であれば、その名前は知らなくとも、水戸岡氏のデザインした電車や建物を目にしたことがない人はほとんど居ないのではないでしょうか。

また、猫のたま駅長で一躍有名になった和歌山電鐵の「たま電車」、猫型駅舎の「貴志駅」や、さいたまスーパーアリーナも氏のデザインによるものです。

tsubame
木材やいぐさなどの天然素材、金箔を使用した内装でも話題になった九州新幹線800系「つばめ」、まるい顔や、車体サイドの赤いラインがちょっとカーブしているのがかわいい。(JR博多駅にて撮影)

logo
左から九州新幹線の車両番号の数字、九州新幹線の800系車両ロゴ、特急かもめの車両ロゴ。個人的に800系ロゴがとてもすきです。車両に記されるロゴのフォントは基本的にHelveticaで統一されている模様。

デザインの範囲は車両のみのにとどまらず、ロゴや車内の内装、調度品、座席に使用する布地までにも及びます。

panelこれはJR博多駅改札付近にあるボード。ここに載ってる特急車両もほぼすべて水戸岡氏のデザインによるもの。

1988年、水戸岡氏がJR九州から初めて依頼を受けた仕事は、数両の中古車両をリニューアルデザインするというものでした。

当時ホテルなどがオープンした海の中道方面へ向かうための列車「アクアエクスプレス」です。”汚れが目立ちやすいから”という理由で、それまで殆ど使われることのなかった白のボディに、ブルーの文字を大きく配した これまでにないデザインでした。

この車両デザインが大変注目されたことが、水戸岡氏自身にとっても一大転機となり、その後JR九州と深く関わっていくはじまりともなりました。

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「アクアエキスプレス」の後続種(?)と思われる「アクアライナー」という車両は、今でも西戸崎線・香椎線で見ることが出来ます。(JR香椎駅にて撮影)

水戸岡氏の仕事量はあまりにも膨大なため、ここでは全てを紹介しきれません。
詳しく知りたい方はぜひ関連書籍などをご覧くださいませ。

特に今回の記事については、大分駅やその周辺に範囲を絞ってご紹介することにします。

大分へ

8月某日早朝 、大分へ向かうことにします。交通手段は勿論JR九州ですよ!

博多駅から大分行き特急ソニックに乗車します。大分までは約2時間20分の旅です。

sonic

ticket
チケット袋にも水戸岡氏のイラストが。
sky
大分までの車窓は山あり海ありです。 別府を過ぎて大分市街に入るまでの海沿いを走る景色は特にきれいです。

大分駅に到着。

station01
駅の中や外、構内のデジタル式掲示板など いたるところに展覧会の告知が。

駅舎も気になるところですが、まずは展覧会会場の大分市美術館に向かいます。

大分市美術館に行くのははじめてです。googleMAPでみると、「あら、駅からそこまで遠くないかも」って感じなのですが、その読みは甘かったことが明らかになります。美術館までこの後約800mの急な坂道を登ることになりました…。

ふだん運動不足の人にはよい運動になる距離と勾配なのですが、足腰の弱い方やお子様連れの場合は市内循環バス「大分きゃんばす」などのご利用をおすすめしますよ…。

museum

美術館は小高い山の上にあります。周囲を森に囲まれた静かな美術館です。

展覧会の内容

水戸岡氏の展覧会はこれまで国内で5回、海外でも1回開催されており、今回の大分の展覧会で7回目の開催になります。

今回の展覧会の名称は
「水戸岡鋭治デザインワンダーランド 駅弁からななつ星まで」
ということで、その名の通り駅弁のパッケージから豪華寝台列車まで、(列車の模型、車両や駅舎のデザインパース・イラストをまとめたパネル、制服、食器、家具、そしてドキュメンタリー番組の映像など)水戸岡氏の幅広い仕事の内容が館内の複数の会場で展示されている展覧会です。

見るだけの展示にとどまらず
九州新幹線や特急の座席の実物があったり(座ってOK)
手描きのデザイン原画を綴った冊子が置いてあったり(自由にひろげてOK)。

そして一番目を引くのが、会場内にめぐらした線路を走るミニトレインです。
出発時には会場内に汽笛が鳴り響きます。

会場内には他にカフェ(特製のパンやお弁当も販売)や遊具もあり、小さな子供も楽しめる構成になっています。

(会場内の写真は無いです…。興味のある方は是非展覧会に足を運んで実物を見ていただけたらと思います。)

会場の写真のかわりに、今回の展覧会の図録の写真を載せておこうと思います。図録も普通のよくある図録ではありません。ちょっとした驚きを感じさせる作りになっていました。

book01外装は特色を多用したホログラムっぽい凝った色合い

表紙がケース状になっていて、開けると中には テーマごとに内容が分けられた3冊の冊子とカードが入っています。

book02
開けたときに列車のカードがちょうど飛び出してみえるように配置されている。

大分駅とその周辺の水戸岡デザインを鑑賞

展覧会を観終わり大分駅に戻ることにします。
駅までの道の途中にも注目したい建物があります。

大分銀行 宗麟館

bank
ガラスを多用してあり、建物の内側からも外からも開放感を感じられるつくり。窓に青空が映りこんでいるのもきれいです。

これも今年4月に出来たばかりの水戸岡氏のデザインした建物です。

銀行の店舗だけど、銀行に用事がない人でも自由に楽しめるカフェやレストランが併設されていて、”これまでになかったタイプの銀行店舗”ということで、地元でも話題になっている模様です。

カフェ・レストランは夜や土日も利用できるとのこと。建物の前に広がる芝生の広場の景色も美しいです。

大分駅 駅舎

改めて駅舎を見て行きたいと思います。

station02

正面外観は西洋の城門をイメージした形で、どっしりとしたつくりです。

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駅前には木材を多用した大きな屋根のついた広場。駅名を記した石のプレートはレトロで重厚な雰囲気です。

コンコース

構内に入って目を引くのは木の格天井です。和風の雰囲気が素敵です。

station04にわとりと星を組み合わせたシンボルマークが金色であしらわれていて贅沢な雰囲気。

そして、美術館で走っていたミニトレインがここにも。

行きがけに構内を通ったときには「ディスプレイで置いてあるのかな」と思っていましたが、なんと子どもを乗せて構内を走ってる!

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※念のために説明しておきますが、ここは人通りもかなりある駅の構内です。ミニトレインが走っている区画を特に区切っているわけではありません。

station06でも安全には十分配慮しています。先導のおねえさんがベルを鳴らしながら列車の通路と周囲の安全を確保。

いたるところにくろちゃん

くろちゃんは 特急「あそぼーい」にも使われている子犬のキャラクターです。
大分駅にはいたるところにくろちゃんがいます。

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コインロッカーは1つづつ絵柄も違う!

アミュプラザおおいた・シティスパてんくう

駅に併設するショッピングエリアは今年4月に開業しました。出来たばかりなのでとてもきれいです。

また、駅ビル内には温泉(!)もあります。さすがおんせん県…。

アミュプラザおおいた http://jroitacity.jp/amu/
シティスパてんくう http://cityspatenku.jp/

屋上ひろば

JR博多駅にも屋上に「つばめの杜ひろば」がありますが、大分駅の屋上には博多駅にはないものもあります。

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広さも博多駅の屋上ひろばより広い感じ。手前の赤い建物では氷水で冷やしたラムネを販売中。

特に目を引くのは「夢かなうぶんぶん堂」です。

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小さくても由緒あるお堂! 二重らせん構造になった変わった作りで、中に入って登ることも出来ます。大分市街を見渡せる眺めのよい場所でした。

この他にも 鉄道神社や参道・仲見世・屋台などがあり、にぎやかな雰囲気です。

x500そして本日3度目のミニトレインとの遭遇。(ミニトレインの名前はぶんぶん号というらしい。)。

大分駅で感じたこと

水戸岡氏のデザインするものには、「これまでになかったものの具現」があり、そこから生まれる「楽しさ」や「驚き」があると思います。

あるべき機能・必要な機能を万全にすることはもちろんですが、それだけにとどまらず、一層使いやすく便利にする工夫やより快適にする工夫、さらには人を楽しませる要素までもが盛り込まれています。

今回、大分駅を見て回る中でも、色々な楽しさや驚きがありました。

たとえば、私が一番驚いたのはコンコースの中を走るミニトレインですが、
「危ないから」「歩く人の邪魔だから」といった理由で、通常であれば実現がむづかしいことだと思います。

こうして実際にミニトレインが走るまでには、安全に走行できるように車両を点検したり、走らせるスピードや時間帯を考慮したり、と問題になることを1つづつクリアする努力や手間があったと思います。

また、そういったアイディアに対してOKを出してくれるクライアントや、駅を利用する地元の人たちの理解、これらがすべて揃ったから実現できたことだと思います。

県外から訪れた者の視点でみても、駅についたときから「いい場所だな」と感じる、ただ”新しくてきれい”というだけではない、「また来たい」と思える魅力ある場所でした。

これから大分に行く機会がある方は、ぜひこの新駅舎も観光してみてください。

また、今年8月からは、「ななつ星」に続く特別仕様の豪華列車「或る列車」が大分-日田間で運行を開始しています。

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これは「或る列車」のポスター。このポスター自体も素敵なデザイン。(JR吉塚駅にて撮影)

鉄道を通して、また新たな大分の魅力が引き出されていくことになりそうです。

展覧会は9/27まで開催

「水戸岡鋭治デザインワンダーランド」は9/27(日)まで開催されています。(8/20の時点で入場者3万人を突破とのことです。)

展覧会の詳細は大分市美術館のHPもご覧ください。
http://www.city.oita.oita.jp/www/contents/1429187109249/

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