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by よしだ よしだ

【連載】北海道古今菓子探訪 -弐- 帯広

【連載】北海道古今菓子探訪 -弐- 帯広

ごきげんよう よしだです。

前回「北海道古今菓子探訪 -壱- 札幌」をお届けしましたが、今回は旅の後半 帯広と中札内(なかさつない)の紀行です。

九州古今菓子探訪 バックナンバーはこちら -壱- 熊本

六花亭について

今回の旅の一番の目的は、六花亭のお店と関連施設を訪れることでした。

六花亭は今や北海道を代表する企業となり全国にもその名を知られていますが、歴史をたどると、もとは札幌に本店を構える千秋庵からのれん分けして開かれた帯広千秋庵という菓子店です。

こちらは旅行前に読んだ「お菓子の街を作った男」という児童書。小学生にも読みやすい内容で、創業者の小田豊四郎氏の人生と帯広千秋庵時代からの六花亭の歴史が紹介されていました。

小田氏が17歳でお菓子作りの道に入って以来、生涯ずっと大切にしていたのが
「どんなに高くても一番よい材料を使って、美味しいお菓子をつくる」
という信条だったそうです。

そういった思いを込めて生み出された六花亭のお菓子は、今ではたくさんの人々に支持され愛されています。

六花亭の歴史の中でも、大きな転機をもたらしたお菓子がいくつかありますが、今回はその中から3つを紹介したいと思います。

ひとつ鍋

「ひとつ鍋」は、帯広開拓開始から70年目、帯広市の市制が施行されて20年目を祝う菓子として、昭和27年に帯広千秋庵から発売されました。

立体的な鍋の形をしたもなかで、中にはあんこと求肥が入っています。鍋蓋の木目まで再現されていますね。

この「ひとつ鍋」という名前は、帯広の開拓に尽力した人物 依田勉三の詠んだ句「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」に由来しています。
豚も人も同じ鍋でご飯を食べるような非常に厳しい生活をしながら、懸命に開拓が行われたことが伺えます。

札幌市役所でいただいてきた冊子「開拓の群像」でも依田勉三が紹介されていました。表紙の右上端の写真の人物です。彼はその偉大な功績によりのちに北海道開拓神社にも合祀されています。
Wikipedia 依田勉三

開拓、そして帯広の歴史の節目を祝うお菓子は、是非とも帯広の礎を築いた人物にちなんだものにしたかった。そういった思いを込めて小田氏はこのお菓子を考案したそうです。

「ひとつ鍋」は発売と同時に大変な評判になり、帯広千秋庵創業以来のヒット商品となりました。

ホワイトチョコレート

現在はスーパーでも簡単に手に入るホワイトチョコレート、このホワイトチョコレートを日本で初めて商品として売り出したのも帯広千秋庵です。

昭和42年の発売当初、見慣れない白い色のチョコレートは手に取る人も少なく殆ど売れなかったそうです。
しかし北海道旅行ブームが到来した昭和47年以降、帯広千秋庵のホワイトチョコレートはお土産として若者の間で人気を呼び、のちに爆発的なヒット商品となります。

札幌や空港でもホワイトチョコレートを売りたい、しかし札幌千秋庵からのれん分けしてもらった際のきまりで、帯広千秋庵は帯広以外の地域では商品を売ることが許されていませんでした。

悩みぬいた小田氏が下した決断が、「帯広千秋庵ののれんを返上する」というものでした。戦前から約45年間名乗り続けた店名に別れを告げて昭和52年に新たに定めた名前、それが現在の社名である「六花亭」です。

マルセイバターサンド

六花亭への改名を記念して発売されたのが「マルセイバターサンド」です。
この商品は大好評を博し、六花亭は新たな販路を拡大することに成功します。今では六花亭の代名詞的存在にもなっているお菓子ですね。

実は「マルセイバターサンド」にも、依田勉三が関係しています。
この商品名は彼が興した晩成社(依田牧場)のマルセイバターに由来、レトロな赤いパッケージも当時のバターのラベルデザインを参考に作られたものなのだそうです。

六花亭のお菓子は地域に根差したものが多いのが大きな特徴ですが、こういった面にも、「地域を大切にし地域とともに歩む」企業精神がよく表れていると思います。

帯広へ

ここからは前回の紀行の続きに戻りたいと思います。

旅の2日目の午後、札幌から六花亭創業の地である帯広へ向かいます。

JR北海道の特急車両は普段乗っているJR九州の車両とは全然雰囲気が違います。
出発までの待ち時間にホームに入ってくる車両をいくつか見たのですが、どれも車両前面部分の窓がものすごく小さいのです。豪雪の寒冷地を走る為の特別仕様なのでしょうか。

帯広までは約2時間40分ほどの旅です。

窓の外に広がる景色の植物相も明らかに違う…。針葉樹林や白樺の木など見慣れない木がたくさん茂っています。

そして畑や牧場が広い。途中にはいかにも北海道らしいこんな風景もありました。

緯度が高いせいなのか、9月でも日没時間が早くあっという間に日が暮れます。
帯広に到着したころにはすっかり暗くなっていました。

帯広駅から出て目にした光景がこちら。馬車が車道を通っている…!
これは輓馬がひく馬車BARだそうです。そういえば帯広には輓馬が走る「ばんえい競馬場」もありますね。

中札内美術村

翌日朝、帯広市の隣 中札内村にある「中札内美術村」に向かいます。

ここは六花亭が運営する文化施設で、広い敷地内に複数の美術館・庭園・レストランや店舗があります。

美術村の周囲に広がるのは広大な畑。

畑の中の一本道に立つバス停。(停まるバスは1時間に約1本です)

美術村への入り口は森の中へ入っていくような趣きです。

庭園と石畳

広い庭園では季節の花々や野外に展示された彫刻が楽しめます。

まっすぐに続く木立と石畳、

この石はローマから運ばれてきたもの。よく見るとひとつづつ表情が違います。

園内の遊歩道

森の中の遊歩道には、まるで寄木細工のように木片が敷き詰めてあります。

これは中札内を走っていた国鉄広尾線(昭和62年に廃線)で枕木として使われていた木とのこと。歩きながら見ていると木片の敷き詰め方も様々なパターンかありました。

六花亭のホワイトチョコレートに刻まれている模様ですが、実はこの遊歩道の模様をモチーフにしているそうです。

レストラン ポロシリ

園内にあるレストランも訪れてみたいと思います。

店名の「ポロシリ」は、帯広市と中札内村にまたがる日高山脈の山、十勝幌尻岳(とかちぽろしりだけ)が由来となっているそうです。
(ポロシリは、アイヌ語で「大きな山」を意味する言葉だとか。)

店内はカフェテリア形式で、地元の新鮮な野菜をたっぷり使った料理が目立ちます。

どれもおいしそうで選ぶのに迷いましたが、店名と同じ「ポロシリ」というメニューがあったのでこちらを頂きました。お豆がたくさん入ったトマト味のグラタン風の料理で大変美味でした。

美術館群

複数ある美術館は1棟につき1人の作家さんの作品を集めて展示されています。
それぞれの建物も、1つ1つに個性があります。

こちらは茅葺の古民家。

こちらは帯広にあった金物屋さんの建物を移築したもの。

これも帯広にあった建物。人口が2つあるちょっと変わったつくり。もとは銭湯だったそうです。

石組み部分は勿論、半円形の窓や扉も素敵なデザインです。

この場所にこうして移されなければ既に無くなっていたであろう建物たち、こういった地元の遺産を大切に使い続けているのも、とても素敵だと思いました。

美術館の中で特に印象に残っているのが、「北の大地美術館」です。

ここに展示されているのは、毎年開催されるコンクール “二十歳の輪郭”に寄せられた自画像作品です。

そして外に広がる森の景色が見える大きな窓。
自然の風景がそのまま絵画になったかのような眺めでした。

開園は4月から10月まで

中札内美術村の開園期間は、4月の終わりから10月の半ばまで。
冬の間は休館期間となっています。1月の今頃はきっと雪に包まれているのでしょう。

帯広から車で約1時間かかり やや行きづらい場所ではあるのですが、とても素敵な場所なので帯広付近を旅行される際は是非訪れてみることをおすすめします。

六花亭 帯広本店

帯広へ来たもう一つの目的が六花亭の帯広本店へ行くことでした。

中札内から帯広市内へ戻ってきた時間がすでに夕方だったので、かろうじて店舗の営業時間内に間に合った感じです。

帯広本店の建物がこちら。

市内中心部にあり、一階が六花亭の店舗、上の階には喫茶室・画廊・音楽ホールなどがあります。店舗は売り場スペースも広く、ここだけで販売されている商品も色々置いてありました。

喫茶室で限定メニューも食べたかったけど、既にラストオーダーの時間を過ぎていました…。(残念)

せめてここでしか食べられないものをと思って店舗でケーキを購入、ホテルでルームサービスのお茶と頂くことにします。

このケーキですが、普段買っているケーキよりお値段がお手頃、しかもサイズも大ぶりなのです。
これは酪農が盛んでバターや生クリームの一大産地でもある十勝地方だからこそ成せることなのかもしれません…。

サイロ

中札内美術村や札幌で訪れた六花文庫など、様々な文化施設を運営しながら地域に根付いた文化活動を行っていることが大変印象的な六花亭ですが、そういった活動のなかで特筆すべきものの一つが、60年以上にわたり毎月発行されている子どもの詩の小冊子「サイロ」です。

お店に行った際に見つけたので一冊頂いてきました。

「お菓子の街を作った男」によると、福島県郡山市の菓子店 柏屋が発行していた児童作品を集めた小冊子に大きな感銘を受けて小田氏が発行を始めたものだそうです。

昭和34年の創刊の際、小田氏は冊子の表紙絵を坂本直行氏に依頼しますが、坂本氏は「冊子の発行を途中でやめないこと」を条件に、無償で毎月の表紙絵を描くことを引き受けたそうです。坂本氏は約束通り三十数年にわたり表紙絵を描き続けました。

小田氏も約束を守り「サイロ」の刊行を続け、その思いは小田氏・坂本氏の死後も変わることなく引き継がれています。

今回の紀行マップ

中札内には美術村のほかに、「六花の森」という施設もあります。
六花亭の包装紙にも描かれている十勝の花々が咲く庭園、そして坂本直行氏の作品を展示する美術館もあるそうです。

また1970年代に「愛の国から幸福へ」で一躍ブームになった国鉄広尾線の愛国駅・幸福駅もあります。

(幸福駅は帯広駅のお土産売り場内にミニチュア版がありました。)

美術村だけでほぼ1日費やしてしまったので、今回は残念ながらそれらの施設までは足を伸ばせませんでしたが、是非また十勝に来て見に行ってみたいなと思います。

今回の北海道への菓子紀行はこれまでで一番遠いところへ出かけた旅となりましたが、お菓子がその土地の風土や文化、そしてそこに生きる人の思いの結晶のような存在であることを、改めて知ることができました。

遠いところで作られたお菓子はそれを味わうだけでも十分楽しいですが、お菓子が生まれた場所を実際に訪れると、味とともにその時の風景を思い出すし、お菓子の味わいも何だか変わる気がします。

次回の行き先は未定ですが、春先の紀行になる予定です。
それではまた。

 

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